
寸法 37㎝×」75㎝
時代 桃山時代
辻が花染めと言えば、何とも雅な響きが感じられます。
それまでは、染め、織、縫い、特に高度な刺繡技術はあり
ましたが、これらに加え絞り染、墨書、箔置きが加わって
日本独特の染織品辻が花がうまれます。
思うだに高度な技術の上に,手間、暇かけた染織品は、
権威の象徴を示したものとおもわれます。
染織品は使いまわしが効くものですから、着古したら下に
下にと形を変え小さくなっていきますので、余程大事に
保存しない限り、衣服として、残存することは非常に稀の
様に見受けます。
例えば、大分以前に扱いました辻が花裂は、生前来ていた
着物一着分をほどいて、仏前の前机の打ち敷にして、お寺に
奉納したものと思われました。
それはそれは、見事な辻が花でした。
それに比して、この辻が花は少し見劣りしますが、この大きさ
の裂がなかなかありませんので、貴重とおもいます。
竹の幹を黒々と大胆に墨で描き、一際めだちます。
青色の鹿の子絞りも白と黄色で染め分けて変化を持たせて
おります。
下方の紫色の竹の葉の下に、墨書で草花の幹を細い線で描いて
おります。
草の葉の先には銀糸で花が刺繍されていたようですが、ほんの
少しの銀糸が残存しておりますが、どんな花かわかりません。
箔の痕跡がないかルーペで見ますが、この部分にはありません。
かってはこのような華麗な衣服を身に纏い、気宇壮大な政治
をしていたかと思いますと、その時代の豊かさに誇らしさを
覚えます。
詳細を表示